On February 14

一女子生徒の告白。



ねぇねぇ聞いてよ。昨日のヴァレンタインさぁ、一週間も前から準備して「ラッピングはどうしよう」とか「甘いもの平気かな」とか、もうほんっっとに色々考えて…テストだってあったのによ?
うん、それでね。チョコレートケーキを作ったのね。形もシンプルに、少しだけ甘さも控えめに…あぁ、試作品がまだ余ってるから今度あげよっか?

とにかく渡しに行ったの。授業が始まる前にって思ったんだけど見つからなくってさ、お昼休みに探し回っちゃった。結局先輩を見つけたのは休み時間ももう終わりって言う頃。食堂の奥の、柱の影になったところあるじゃない? あそこに居たのよね。人込みの所為で判んなかったわ。

え、何? 『先輩』が誰のことかって?
やぁ~だ、私が『先輩』って言ったらアーヴァイン先輩に決まってるじゃない!

先輩が居たテーブルにはもうたくさんのチョコが積んであって、見つけた時も丁度二人組の女の子が来てた。私はその子達が帰ったら渡しに行こうと思って待ってたのよね。
なのに全然帰らなくてさぁ…
チャイムが鳴ってようやく居なくなったから、「よし、行くゾ!」って気合入れて。で、いざ立ちあがったらそこにスコール先輩が来ちゃったの。またまたタイミング外しちゃった。

いつものことだろうって? うるさいな。

とにかく。仕方ないから様子を窺うことにしたワケ。まぁ休憩中のスコール先輩なんて滅多に見られないし、ラッキーだったかも。ただ話している内容までは聞こえなかったのが残念っちゃ残念だったな~。
でもね、実はこっそり…ほら、これこれ! カメラ持ってたのよね♪

イイ男のツーショット写真…結構売れると思わない?
…あはは、冗談だってば。

あぁそう、それでアーヴァイン先輩がね、さっき貰ったばかりの包みを開け出して。中身は6個入りのトリュフだったんだけど。一つ摘んで自分で食べるのかと思ったらそのまま…こう…「あーん」て口に放り込んで、ていうか食べさせて? うん、そう。そんな感じ。
しかも、スコール先輩もそれを極フツーに食べてるの!

何かスコール先輩がそういうことする人だとは思いも寄らなかったからびっくりしちゃったわよ、ほんと。でも何に一番驚いたって、その行為を二人があまりにも自然にやってたってことね。何て言うの? もう何年も付き合ってますっていうカップルみたいな。
どうなんだろう…本当の所付き合ってたりするのかな?

は? 二人とも男なんだから有り得ない?
う~ん、そうかなぁ……私的にはアリだと思うけどね。

けどそうなるとあれよね、先輩にチョコあげた子達全員失恋確定。だって相手がスコール先輩だったらかなうわけないもの。

あ、予鈴鳴ったよ。それじゃあそろそろ行こっか、次体育だったよね。

…な~に? 結局チョコは渡せたのかって?
さてね、どっちでしょう。ご想像にお任せしますわ♪